浮き床栽培法の説明

浮き床栽培法の説明

障害があっても高齢者でも農業ができます

日本の農業を安全で自然にやさしく、若者にも魅力ある産業に変える新発想農法

  • 現在使用されていない湖沼等の水面を利用して作物を栽培できます。(農地の取得がいらず新規参入が容易)
  • 大規模な機械化も可能であり減農薬栽培での循環型農法ができます。(栽培床を一括集中管理の遠隔操作で水面を自由に移動させる)
  • これまで以上の水産資源の確保や水害予防などの効果が期待できる。(栽培床下の水中はこれまで以上に魚類の生息環境が良くなる)
  • 水質改善や自然保護、水害予防等多目的に貢献できる。(水中の有機物質を吸収し水質改善が図れる。都市近郊水田なら遊水池機能を持たせる事ができる)

水面浮き床栽培 を知って下さい

水面浮き床栽培とは、基本的に湖沼河川や水田等の水を蓄えた水面に作物栽培用の床面を作って浮かべ、自由に移動させて作物を育てる農法です。

それではここから質問に答える方式で説明します

  • Q1:野菜等を栽培する為に行われている水耕栽培と同じ方法ですか?
  • A1:大きく違います。

水耕栽培との違い 

水耕栽培は基本的に土を使わず、主に養分を含んだ水を根の部分に循環させて作物を生育します。
またハウスや建物内で生産し手間もエネルギーも大変にかかる為、高価格で取引される物や生育期間の短い作物で採用されています。

それに対し、水面浮き床栽培は最小限の栽培用土を使用します。
作物が必要な養分はここから吸収し、水分はその下の水から取り込みます。
大型の根菜作物以外はだいたい栽培できると思います。

  • Q2:どうして節水型省エネ農法なのですか?
  • A2:節水と省エネに分けてお答えします。

節水の仕組み

水田での稲作を従来の方法と比較します。日本の稲作では米を作る為には水田全体に水が2.0~3.0m程度の深さの分の水量が必要だそうです。
もしも稲の成長に合わせてこの程度の降雨量があれば農業用ダムも用水路もいらない事になります。

実際の水田の貯水能力はせいぜい深さ、0.1m~0.2m程度と思いますのでそう言う訳にはいきません。
日本国内の水の使用量で一番大きな割合を占めるのは農業で、主に水田です。日本で実際に使われる水の約3分の2が農業用と言われています。

水田に水面浮き床栽培を活用する場合、雨水を1.0~1.5m程度貯水させます。日本の年間全国平均降雨量は1.7m程度ですから単純に考えればダムの水は大部分が不要となり、生活用水や工業用水にその分回すことが出来ます。

省エネの仕組み 

水面に栽培用床を浮かせる事は、船やイカダと同じで、少ないエネルギーで水面を自由に移動させる事が可能です。

これまでのように耕地全体を機械や人間が何度も動き回って耕したり収穫する必要がありません。
屋根の付いている作業場に栽培作物の方を移動させて必要な作業をしていきます。

  • Q3:どの程度大規模機械化が出来るのですか?
  • A3:栽培する作物や立地条件によって変わってくると思います。

大都市近郊で消費者の多い地域の場合

この農法の特徴を活かして、多品種の作物を常時出荷出来るようにして地域密着型の作物生産が出来ます。

又同じ作物を回数多く生産することも出来ますし、連作不適用の心配もありません。

これらの事から生産形態や組織形態で変わりますが一単位区画としては、10ha位のものを組み合わせれば生産効率の高い面白い農業が可能と思います。

大きな消費地に遠い地域の場合

単一作物を栽培する場合は、アメリカ型の栽培面積よりも大きな広さでも充分管理が可能です。
それに合わせた機械化自動化で天候に左右されない24時間稼動の食料生産工場が出来ます。

耕地面を耕すことも休ます事も不要な為、栽培作物もその地域の気候に合わせた多毛作が可能になります。
又この栽培法を水質の富養化汚染で問題になっている湖沼や河川に採用すれば、現在利用されていない国土を活用して食料の生産が出来、かつ水質浄化も可能です。
生産作物の国際競争力も上がり食糧自給率も大きく向上させることができます。

  • Q4:どのようにして有機減農薬栽培が出来るんですか?
  • A4:有機栽培と減農薬栽培を分けて説明します。

簡単にできる完全有機栽培

現在有機栽培の認定を受けるには長期間の土壌や水利の管理が必要になります。
耕作地全体の土壌を作り変えたり管理する事は農家にとって大変な作業になります。
しかしこの浮き床栽培法は最小限の栽培用土しか使いません。毎回取り替えて再生し再利用します。
この結果、この使う分だけを完全有機土壌に再生して使用すれば完全有機栽培が可能です。

減農薬栽培や無農薬栽培も可能 

これまで説明したように、栽培作物が水面を移動する事でこれまでのように耕作地全体に農薬や除草剤を散布する必要がありません。
作業棟内の害虫除去室(消毒室)を通せば済みます。

害虫によっては、風圧や水圧で除去したり、害虫の嫌う作物を混栽する事も簡単に出来ます。
又稲作で最近注目されているアイガモ農法等のやり方を取り入れる場合は、アイガモ飼育小屋の中に順次浮き床を通過させれば少ないアイガモで可能になります。
カラス等の外敵からもアイガモを保護できます。
同じように鯉などの魚を使う方法も考えられます。

  • Q5:循環型農業ってどんな事ですか?
  • A5:出来るだけ無駄な物を出さないで、生ゴミ等も活用する農業です。

食料のリサイクル

この栽培で使用した栽培用土は養分が少なくなっています。
次に再利用するまで生ごみや家畜の排出物等から作られた有機物堆肥を混ぜて休ませます。
これを繰り返すことでいつも元気のいい有機栽培用の土を供給する事ができます。

  • Q6:水産資源の確保ってどの様にして、又どんな物が確保できるのですか?
  • A6:淡水性の魚介類なら何でも可能と思います。

魚介類の養殖

海洋資源も少なくなり海の自然環境保護も考えると、魚等の養殖がどうしても必要になります。
しかし採算性を考えると狭い場所で短期間に多くの生産を上げる事が必要となり現在は高級魚の養殖が主です。

浮き床栽培の魚介類の養殖は副業的な意味合いですので、自然に近い環境で広い面積でのんびり育てることが出来ます。
餌もそんなにあげる必要も無いと思います。

しかもこれまで農作物しか取れなかった水田から安全な水産物も取る事が出来るのです。

  • Q7:水害予防や自然保護とありますが、どうしてですか?
  • A7:水害予防と自然保護は密接に関係しています。

水害予防の仕組み

最近の水害の多くは都市型水害と言われています。
ヒートアイランド現象からか局地的な大雨が目立つようになり、市街地を流れる中小河川は一気に増水し被害を出します。

しかし河川から溢れる水量は思ったほど多くは無く、むしろ短時間に増水することが問題なのです。この多目的水田は遊水池の働きをします。

気象予報が発達した現在、大雨が予測された時点で水田の水を放出して水位を下げておき、実際に河川が大きく増水してきたら取り込むことで被害を防ぐ事が出来ます。

例えば危険河川の周辺流域に合計1000m×1000mの多目的水田を作る事ができれば、深さ1mの取水量で100万トンの大量の雨水を取り込んで蓄えることが出来ます。
もしこれだけの雨水を取り込める多目的水田を河川の氾濫危険の大きさに合わせて配置できれば、都市型水害の多くは回避できる筈です。

なぜ自然保護になるのか 

現在の水田は大型の機械を使用できるように耕地の排水を良くして作業性を高めています。
その為に半年間程度は田んぼに水が無い状態にしています。
その期間は用水路にも水が来ません。
作業性や生産性を重視した事で水生の生物が生きていけなくなりました。又半年間は水田から地下水脈への水の供給が大幅に減ります。

しかし多目的水田は年間を通して雨水を主に蓄えていて、農薬の空中散布もしないので安全な水質のもとで水生生物が生活できます。
又これらを餌にする鳥等も生きられ、周辺の地下水位も回復する筈です。
(佐渡トキの野生化実現には年間を通した安全な餌の確保が大切と言われていますが、この方法なら解決できると思います)

  • Q8:多目的農業とありますが、これまで説明した以外にも何かありますか?
  • A8:都市部での親水池活用や、地方ではその地域の特徴を活かした行楽地としての活用なども考えられます。

自然いっぱいの田んぼ型親水池なら四季を通していろんな発見が出来ます。
たくさんの花が見られます。おたまじゃくしも見る事が出来ます。
蛍だっています。魚釣りも出来ます。
いろんなトンボも飛びます。渡り鳥も餌を捕りに降りてきます。

地方なら、見渡す限りの菜の花の水田に小船で分け入って春を楽しんでもらう事等、いろんなことが考えられます。

  • Q9:この方法で作物を栽培している所はあるのですか?
  • A9:個人で実験的に栽培している所はあります。
    又、水質浄化の点からこれと似た方法で九州大学と中国の水稲研究所との共同研究もあるようです。

埼玉県の岩槻区で休耕田の一部を借りて、2001年秋から実験栽培を始めています。

  • Q10:実際にこの栽培法を行う場合、費用対効果から採算性はありますか?
  • A10:前に生産作物の国際競争力向上を書きましたが、生産者側が全てを負担したのでは不可能です。

この栽培法が貢献できる広範囲な影響を考えた場合、造成費用やポンプの設置費用、栽培用浮き床の安い費用での提供、
税制面での優遇処置などの行政側の対応が必要と思います。
それに生産側の企業化や組合化を計り大規模化できれば採算性は充分あると思います。

  • Q11:これを実施する場合の具体的な方法や問題点を教えてください。
  • A11:実施方法として
    • 【イ】第一段階として氾濫危険河川流域の水田を指定区域にして、区域内の地権者(農家)が農地を出資した形の株主とします。
      大規模面積の耕作地を有する組合又は企業を組織する。
    • 【ロ】区域内地盤の高低差を考慮して区割りして、水田表土の約20cm程度を鋤とって区割りした周囲に堤状に盛り上げ、高さ2m、幅6m程度の作業道路を確保する。
    • 【ハ】貯水は雨水が基本ですが、水質の問題が出ると思うので従来の整備された水田水利も活用します。
      水害予防の為の河川からの取水はポンプで行うことになりますので、大型の揚水ポンプの設置も必要になります。
      排水は自然排水でいけると思います
    • 【二】栽培用の浮き床は発泡材などの水に浮く材料で作り、約3m×10m程度の運搬可能なサイズを連結して大きくします。
      遠隔操作の推進器を装備して水面に浮かせます。
    • 【ホ】作業棟は浮き床をそのまま取り込み、種蒔きや植え替え、消毒や害虫駆除、追肥や収穫などの全ての作業が天候に左右されないで行うことが可能になります。

問題点は地権者(農家)の方達が農地を出資した形の株主に理解し協力してくれるかだと思います。
しかし農家の現状は水田を維持する事は兼業で得た収入を逆につぎ込んでいます。
今のままでは、自分で米なんか作らないで買って食べた方が良いとまで言います。
先祖から受け継いだ土地を売らないで、形を変えた資産として子孫に引き継ぐことが出来るこの方法なら、理解して協力していただけるのではないでしょうか。

運営方法は組合方式や企業方式にして、個人型農業ではなく専業農家の方や農業に興味のある方、農業専門の方や消費者の方などを取り込んで運営すれば生産性は大幅に向上します。
利益が出れば株主(地権者)に配当が出せます。
国にも税金が入ってくるようになります。

水害予防の為には、天気の予測に対応した河川の取水,放水など河川管理者との緊密な連携が重要になります。
又、その指示に従って対応した結果の被害には、国からの保障が当然必要になります。

  • Q12:どうしてこんな方法を考えたのですか?
  • A12:次のような理由です。
第1

米を作ってはいけない水田が全体の4分の1にもなっています。(平成12年度)
かと言って他の作物を作っても採算が取れません。
これらの政策の為にものすごい金額の税金が使われているが誰も助かっていない。みんなが喜ぶ方法はないのかなと思いました。
(平成15年度の稲作の減反面積は全体の40%で、101万haになるそうです。)

第2

日本の食糧自給率が大変低いが、休耕田などを含めて使っていない耕作可能な土地が増加しています。
これは日本の農産物価格が高すぎることですが、異常気象が起きて食料の輸入が出来なくなったらどうするのかと考えた時、世界一整備された日本の水田水利を最大限有効に活用し生産性を大幅に向上させ、安い価格で供給できる方法はないだろうかと考えました。

第3

環境問題です。
ホタルやめだか、かえるやトンボ等の水生生物の減少に歯止めが掛からなく、消滅の危機にあります。
各地で行っている環境施策は保護が主ですが、出来る事ならなんとかこれらの生物を回復させたいと思いました。

第4

治水の問題です。
都市化による雨水の氾濫被害が毎年のように日本各地で発生しますが、堤防の嵩上げや川底の土砂すくい等だけでは解決できません。
中小河川の氾濫の特徴は短時間に増水して被害を出し、すぐに又元に戻ります。
氾濫危険河川の流域に大きな遊水地機能を持たせた水田を作れば、水害防止に貢献できるのではないかと考えました。

第5

ダム問題です。
公共工事の問題で日本各地のダム計画が見直されていますが、国内で使用される水の3分の2が農業用だそうで主に稲作用です。
ダムに貯める水を当てにしないで稲作が出来ればその分は生活用水にまわす事が出来、今のままのダムの貯水量で充分間に合うことが出来るのではないかと考えました。

第6

諫早湾や中海の埋め立て問題です。
計画当初は農業用地の確保が主要目的だったと言われています。
補償問題や環境問題、費用の問題などで長い歳月が掛かってしまいます。
この栽培法を応用し、海水面に浮かべた耕作地で作物が育てられれば、防波堤などを作る程度の安い費用で食糧生産が可能になるのではないかと考えました。

雨水タンクを装備した浮き床なら自然降雨だけで充分作物生産が出来ます。四方を海に囲まれた日本は広大な農業耕作可能面積を確保できる事になります。
     
水面浮き床栽培について概略はお分かりになって頂けたでしょうか?